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鬼ごつこ/芥川龍之介を朗読

ごきげんよう、"文学YouTuber"のベルです。
 
芥川龍之介の短編小説"鬼ごつこ"を朗読をしました。
 
お話自体は読むのに数分程度という短いものですが、奥の深い作品です。
 
ぜひ、睡眠導入のような気分で聴いていただければと思います。
 
※最後に少し、自分なりの解釈を入れています。

 
芥川龍之介の作品を扱うのは、記念すべき第1回朗読の"蜘蛛の糸"以来ですね。
 

【青空朗読】蜘蛛の糸/芥川龍之介の釈迦がわりと鬼畜だった…
2018.2.3
よろしければチャンネル登録をお願いします!...…

#のベルズ(視聴者の皆様)で、いつも字幕協力をしてくださる方がいらっしゃるのですが、「以前よりきちんと口の動きがわかって、表現力が増したように思う」といったコメントをいただきました。
 
第1回から成長しているでしょうか?とても嬉しいです!
 
朗読動画は、音声のみで字幕が流れるタイプのものが多いですから、私はうるさくならない程度に人間味を出していけたらと思っています。
 
さて、動画内でも私の感想・解釈を少し入れましたが、ここからは補足の感想を述べていきます。
 
動画をご覧になっていないという方は、ぜひ先に鬼ごつこ"の全文をお読みください。

鬼ごつこ/芥川龍之介の全文

彼は或町の裏に年下の彼女と鬼ごつこをしてゐた。
まだあたりは明るいものの、丁度(ちやうど)町角の街燈には瓦斯(ガス)のともる時分だつた。
「ここまで来い。」
 
彼は楽々と逃げながら、鬼になつて来る彼女を振りかへつた。
彼女は彼を見つめたまま、一生懸命に追ひかけて来た。
彼はその顔を眺めた時、妙に真剣な顔をしてゐるなと思つた。
 
その顔は可也(かなり)長い間あひだ、彼の心に残つてゐた。が、年月(としつき)の流れるのにつれ、いつかすつかり消えてしまつた。
 
それから二十年ばかりたつた後(のち)、彼は雪国(ゆきぐに)の汽車の中に偶然、彼女とめぐり合つた。窓の外が暗くなるのにつれ、沾しめつた靴(くつ)や外套(ぐわいたう)の匂ひが急に身にしみる時分だつた。
「暫(しばら)くでしたね。」
 彼は巻煙草を銜(くは)へながら、(それは彼が同志と一しよに刑務所を出た三日(みつか)目だつた。)ふと彼女の顔へ目を注(そそ)いだ。
 
近頃夫を失つた彼女は熱心に彼女の両親や兄弟のことを話してゐた。
彼はその顔を眺めた時、妙に真剣な顔をしてゐるなと思つた。
と同時にいつの間(ま)にか十二歳の少年の心になつてゐた。
 
彼等は今は結婚して或郊外に家を持つてゐる。
が、彼はその時以来、妙に真剣な彼女の顔を一度も目(ま)のあたりに見たことはなかつた。

鬼ごつこ/芥川龍之介の感想・解釈


動画でも触れましたが、彼女の"妙に真剣な顔"の正体が重要な部分だと思います。
 
なぜかしら、彼の脳裏に焼き付くあの表情ー
 
私も、"昔のあのシーンだけがやけに鮮明に残っている"ということがあります。
 
夢にも出てきちゃったりして。
 
再会は、忘れた頃にやってきました。
 
それはもう、"運命"と呼ぶべきものでしょう。
 
お互い波乱万丈な人生を歩んできたことは想像に難くありません。
 
彼の前科が物語っています。
 
この前科について、私は動画を撮っている時には気づかなかったのですが、下記のようなコメントをいただきました。

彼は、前科持ちといっても、「同志と一しよに」ということなので、恐らく政治犯(社会主義者)なのでしょう。

確かに!彼は、彼女を追う立場ではありましたが、国には追われていた立場だったんですね。
 
こういったコメント、大変ありがたいです。
 
さあ、私は更にドラマチックに想像してしまいます。
 
幼馴染の彼女は、子供なりにも彼の性格をよく把握していたのではないでしょうか。
 
だからきっと、再会した時に彼の境遇は、言わずもがな知っていた。
 
そこで自ら不幸話を振り、「あなたと同じですよ」と安心させたのでは…
 
これぞ、"愛"。
 
こうして二人の鬼ごっこも終わり、ハッピーエンドです!
 
んー、妄想が過ぎたことを反省しています。
 
止まらなくなるんです。
 
やっぱり芥川は天才、いや鬼才だ。
 
それでは、ごきげんよう。

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