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目次
最低。書評(ネタバレなし)
ごきげんよう、文学YouTuberのベルです。
今回は、現役人気AV女優”紗倉まな”さんの小説デビュー作を書評しました。
※ネタバレなし
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最低。書評(ネタバレあり)
動画ではネタバレなしでお送りしましたので、ここではネタバレを含め、全4話収録の連作短編を1話ずつ振り返ってみますね。
あらすじーAV出演歴のある母親を憎む少女、あやこ。家族に黙って活動を続ける人気AV女優、彩乃。愛する男とともに上京したススキノの女、桃子。夫のAVを見て出演を決意した専業主婦、美穂―。4人の女優を巡る連作短編小説。現役人気AV女優、紗倉まなの小説デビュー作。
内容は全体に色香が漂い、女性の切なさ・孤独感といった繊細な部分をえぐりとっていきます。
※ここからネタバレあり
1章 彩乃
家族に黙って活動を続ける AV女優
あらすじ
働く環境に不満はなく、違法なことをしているわけでもない。
自らの長所を存分に活かしているだけ。
なのになぜ親は泣き、職業記入欄には”OL”と書かなければならないのか。
そんな日常に晒されながら、ある日彩乃は隠れ家的なバーへ立ち寄る。
そこには1人で飲む日比野という男性がー
「ひさしぶりの、恋だった。」
感想
AV女優という職業イメージにおける世間との乖離がテーマでしょう。
紗倉まなさんのリアルな体験談が組み込まれた”業界あるある”だろうと想像つきます。
寂しくて、沢山の葛藤を抱えている人が多いんだろうな。
だから理解者が現れる兆しはとても眩しく見えるだろうし、大切にしたいし、でも今にも消えてしまいそうな壊れやすさがありますね。
誰もが持っている心の隙間を見せてくる作品だと感じました。
2章 桃子
愛する男とともに上京したススキノの女
あらすじ
失業し、北海道へ慰安旅行中の石村は、福渡という男からAVプロダクションの立ち上げを提案される。
まだ事務所というものが確立されていない時代だった。
一人目の所属女優は福渡がススキノから連れてきた”桃子”。
愛嬌のある彼女に惚れ込み、共に暮らすことになった。
しかし、高齢の両親へ仕送りする桃子を見ていると、恋人にAV女優をさせていることについての疑問も持ち始める。
「これ、使ってほしい」封筒を取り出した。
「そういうことじゃ、ないの」
感想
語り手は石村であり、主人公と言っても良いかもしれません。
石村は、1章の彩乃が所属するプロダクションの経営者でもあります。
今ややり手の石村の黎明期を支えた桃子のお話です。
“職業が愛し方を邪魔をしている”様を感じました。
会社も恋愛も、二人で優しく積み上げてきたもの。
それが、ゆらゆら揺れていきます。
3章 美穂
夫が所持するAVを見て応募した妻
あらすじ
専業主婦の美穂、夫の健太の関係は事実上破綻している。
美穂が誘っても健太は応じない。
彼は子供を育てるのが面倒で、離婚するのも面倒で、1日にいくつかの会話を交わして家事をして過ぎていく日々。
そんな中、自由奔放に生きる妹の美沙がちらつく。
刺激が欲しい。
ある日、 健太が寝ている部屋へ忍び込み、所持品を物色していると、1本のAVを発見。
「私に似ている。」
初めての撮影にて、
ーブルガリの、プールオムだ。
健太と付き合った当初、彼がつけていた香水だった。
懐かしさの理由がわかったときにはもう、男の肌についた微量の香水も、すでにとれていた。
感想
美穂が訪ねたAV事務所も石村経営です。
専業主婦のリアルなフラストレーションが描かれていました。
自分の女としての価値を知るためにAVの門戸を叩くということもあるんですね。
一番”イケナイ”ものを見ている感覚がありました。
4章 あやこ
元AV女優の母親を憎む少女
あらすじ
あやこは、適当に生き、何も続かない母親の元に生まれた。
5歳の時には母の実家へ戻り、祖母と共に暮らすことになる。
手がかからない聡明な美人な中学生に育ったあやこ。
彼女は、得意の絵で賞をとる。
しかし、注目を浴びたのは、母がAV女優だったということ。
加えて父親は男優という噂まで。
私はいんらんな女の娘なのだろうか。
ある日、父親と名乗るものから電話がかかる。
憧れの西洋美術館へ行くことになるのだが…
それでも、進まなくちゃいけない。
感想
他の章とのつながりがあったか、忘れてしまいました。
“あやこ”自体はAV女優でないところが他とは違う感じが出ていますね。
喜怒哀楽を出さず、淡々とした態度のあやこですが、その中にある孤独な気持ちがよく伝わりました。
登場する父母はそろって勝手。
ただあんまりイライラこないところが不思議です。
彼女はこれからどのような人生を歩むのでしょうか?
とても気になる終わり方でした。
最低。は“2018年おすすめ本”にもランクインしています!
ぜひ、こちらの記事も確認してみてください。
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まとめ
4人の女性とAVの関係を繊細に儚さを伴って描いていく作品でした。
テーマのインパクトが強いですが、その枠を越え、特に女性の共感を呼ぶものであったと思います。
短編集ですし、夜寝る前少し読み進めるのに適しているのではないでしょうか。
心にぽっかり穴がある方にすーっと入っていくような…。
なお、11月に映画化された作品ではこの4作を全て絡めているようです。
お察し、R15。
ちなみに私の書評動画は、年齢制限はありません(笑)
ぜひみなさんのご視聴・コメントお待ちしております!
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それでは、ごきげんよう。