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“ふたご”書評(ネタバレなし)
ごきげんよう、”文学YouTuber”ベルりんの壁のベルです。
2018年1月16日(火)に第158回芥川賞・直木賞の受賞発表が行われました。
私はこの直木賞候補作に選ばれた藤崎彩織(ミュージシャン”SKAI NO OWARI”のSaori)さんのデビュー小説”ふたご”を読み終えましたので、ぜひ書評動画をご覧ください!
※ネタバレなし
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“ふたご”概要
SEKAI NO OWARI Saoriによる初小説、ついに刊行。第158回直木賞候補作。
大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて–。
彼は私の人生の破壊者であり想造者だった。
異彩の少年に導かれた少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。
“ふたご”の感動セリフ集
今回惜しくも受賞を逃してしまいましたが、素敵な作品であることには変わりありません。
特に、主人公の夏子と彼女の想い人である月島との会話は思わず付箋を貼ってしまう箇所が多々ありました。
そこでここでは、”ふたご”の心に残ったセリフをまとめてご紹介します。
※以下若干のネタバレを含みます。
寂しい人って?
「いいじゃん。俺は寂しそうなやつって、魅力的だと思うよ。」
「どうして?」
「仲良くなれるからさ」 (p.29 l.8)
“魅力的”は褒め言葉の中でも強く染みる言葉ですよね。
それをさらりと言ってしまう月島。
内向的な夏子にとってはどれだけ救われたでしょうか。
「これから仲良くなれるんだ」と期待に溢れる詩的な言い回しでした。
みんなと同じが出来ない
「みんなが乗ってる列車に乗れない人生は、非難されるから」 (p.36 l.7)
普通に朝起きて、普通に学校へ行って、普通に勉強することができない月島がぼそり。
大なり小なり、周りに合わせることができずに悩むことってあると思います。
ぶっ飛んでいるように見える月島も、本当はしたくてしているわけではないのだろうなと察するシーンです。
逃げる勇気
「なっちゃん、逃げることにだって、勇気は要るんだよ。」(p.62 l.18)
根を詰めてピアノに励む夏子に対し、月島が放った言葉です。
ストイックで強迫観念の強い夏子は、頑張っている時ほど辛そうに彼の目には映りました。
彼の突飛な言動に、彼女に刺激と癒やしを与えています。
心配する権利
「心配する権利なんて、私にはないでしょう」
「俺はいつもなっちゃんといるじゃん。それが全てだよ」(p.82 ll.15-18)
他の女性との関係を案ずる夏子へのらりくらりの月島です。
“心配する権利”という発想が夏子らしいと思いました。
たまに自己主張する夏子からは、可愛らしさもうかがえます。
出来ないこととやらないこと
「やりたくて、挑戦しているのに出来ないことと、やりたくないことをいつまでも放っておくこととは違うよ。」(p.260 l.9)
暗黒時代を経て、バンド成功へ向けて急成長を見せる月島の一言です。
今まではどこか逃げ道を置いており、言動不一致ともとれる彼にイライラした人もいるでしょう。
しかし、後半になると力強さが増して行きます。
彼の秘めていた力がもうすぐ弾けることを夏子に宛てた言葉が暗示しているようです。
すごくいい
「すごくいい歌詞だよ、なっちゃん」(p.286 l.16)
唯一泣きそうになったシーンでした。
夏子は死に物狂いで歌詞を完成させ、疲労困憊の状態で眠ってしまいます。
そして、目を覚ました時に降り注ぐ月島の言葉。
好きな人、尊敬する人から認めてもらうことは至高でしょう。
「この言葉のためならなんでもできてしまう」という愛情ときらめきがありました。
まとめ
“ふたご”の書評動画の紹介と、読んだ中で特に心に残ったセリフをお届けしました。
動画内で「セカオワの世界観をそのまま小説に封じ込めている」という発言をしましたが、リアルなセリフによって更に感じていただけたと思います。
SaoriさんとFukaseさんが浮かんでドキドキし、「Saoriさんの夫は見ちゃだめよ」という部分も共感していただけたのではないでしょうか。
思慮深い夏子の言葉と感情の動きには安定感があり、ムーミンのスナフキンのような月島との対比が素敵でした。
ビールの美味しさがわからず月島つっこまれていた夏子ですが、バンドに一生懸命になり、ついには仲間で美味しいビールを飲むことができた…
その成長に乾杯です!
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それでは、ごきげんよう